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大阪ニット会報 2020 NO.104 令和2年12月掲載記事 未公開分を含む(2020年10月寄稿文)

前回の原稿依頼より早や4か月、この間、私たちはコロナに対応する為に大きな変化を遂げました。前回の最後にこれからすぐに起こることとして4項目を上げました。①の「リアルは全てオンライン化する」は、身の回りでも仕事のミーティングや講演会、営業などもオンライン化されるまでになっています。②「人もお金も非接触化」は、GOTOキャンペーンや昨年の消費税アップに伴うポイント還元の為に普及した電子マネーやスマホ決済も手伝って、急速に利用が広がっている。続いて③の「職住融合の始まり」ですがコロナ対策としてある一部上場企業で採られた方法が1週間は会社に、次の1週間はリモートを使って自宅で仕事をしてもらうというもので、この勤務シフトを会社と家にいる日に分けると月~金(5日間)は会社、土・日(2日間)は休みで家、次の週は自宅勤務で月~金と土・日の休みをプラスすると7日間、これを4週間続けると、会社が10日、家が18日、仕事を含め生活する場所が会社から自宅へと見事にシフトしている。職種にもよるが今後は確実にこうした方向に向かうことでしょう。

なぜなら海外では感染者が急増し、再びロックダウン宣言しなければならない国が現れています。コロナワクチンが開発されたり、多くの人がウイルスの抗体を持つ状態にならない限り、これまでのように多くの人たちが集まったりすることは出来ないからです。

コロナは人と人との接触によって移るという現実を多くの人たちが受け入れた時、これまで何の疑問も持たずに大都市(東京など)に集い働き生活してきたことに見直しが始まります。最初はただ感染から身を守るという防衛本能から、そして在宅勤務などを経験して自分の仕事やライフスタイルに合わせて住む場所に対する新しい欲求(働き易くて安心して住める)が生じてきます。

これからはコロナによって変化した環境に対応する為に労働様式や居住様式、そして移動様式などの見直しが始まります。コロナの環境と経済などが共存できる適正な規模や行動とは何か、企業や人々がこうした変化に対応しだすと必ず都会から郊外や地方へと人の移動が始まります。その時が④「東京を中心とする一極集中が終わる」時です。 私たち繊維産業は生活に密着した産業です。会社から自宅、集団から個人へ、中心街→郊外、大都市→地方、こうした新しい人の動きによって生み出される新たなニーズに対応した物づくりをこれからは心掛けていかなければならないのです。